ー2026年7月10日ー
はじめに
井上の笑い方は豪快だ。津田が語っているときは「ハイハイ」「ウンウン」と声に出して頷く。自身が語るときは、あまり躊躇せずハッキリと。入職して1年未満ではあるが、ベテランの域が感じられた。
津田「よろしくお願いします」
井上「こちらこそよろしくお願いします。うわー! 緊張しますね」(笑)
津田「えっ!! 緊張する? リラックスしてくださいね」(笑)
井上「ありがとうございます」
津田「じゃあ始めましょう。井上さんが来てくれたのは、どのくらい前ですか?」
井上「去年の7月2日に入職です。なので8ヶ月ほどになります」
津田「そうそう。見学に来てくれたのを覚えてる。一緒に保育園とかに行かなかった?」
井上「そうです。で、サクランボを頂いて」
津田「そうだったね! あの日、保育園(ぶどうのたね)にあるサクランボの木が満開になってるから、それを子供たちがお年寄りと一緒にサクランボを取るっていう日だったから、『一緒に行ってみる?』ということで行ったよね」
井上「ですです、そうでした」
津田「あんなハチャメチャだったのに、良く来てくれました」
井上「見学の日、花帽子さんの方でも『うちはこんな感じなんです』って中も見せてもらったり説明を受けて、『嗚呼、良いなあ!』って思わせていただいて、なので、あれがあったから、こちらの方から『面接お願いします』って言わせていただいて…」
津田「そうなんだ。で、どういうところが良かったの?」
井上「先ずは、こちらにしようと思ったのはインスタからですね。いろんな事をされてるなって思いました。
で、利用者さんの表情も凄く良くて、ホンマに楽しんでらっしゃるなって。
自分もそこに入れたら楽しそうだなって。ま、単純にそんな感じです」
津田「嬉しい! インスタを見てくれて、そうやって思ってくれて。入ってみたらどうだった?その印象を持って入ってみて」
井上「楽しいですね。だから、いろんな先輩職員さんが訪問とかでも指導に就いてくださって、とても親切なんです。
『この方はこういう生活歴でここに夫婦で居られて…』とか、詳しく本当に教えてくださって。
だから、そんな生活歴があって今があって、この訪問が必要なんだっていうのが良く理解できます。
正直、凄い短い時間で訪問に2回入るとか、それは初めての経験だったので『なんで、これは?』 って思ったけれど、段々にその方を知っていくと “必要”の意味が良く分かるようになりました」
津田「そうよね。よくあるのは『ケアマネさんがこうこうだから、このプランなんでこういう風に行ってください』
みたいにオーダーが現場に下されて、現場がその通りに動き訪問する。
だけど、ここではそうではなくて、現場の皆が一緒に考えて、現場の皆が『こうすれば良いんじゃないか?』っていう風なアイデアも出して、っていうところで動いてる。
だから現場も、どうしてこの訪問が必要か? っていうところも良くわかってる。現場の目線で、なぜそれが必要なのか? ってところが言えるから。やはりね、事件は現場で起こるよな!」(津田 井上 納得し合いながら大爆笑)
井上「確かに! ですね」
津田「私もケアマネをやってた時期もあるけど、でもやはり、ケアマネが出来ることは少なくって、現場の人の方が利用者さんのことも良く分かっているし。
じゃあ、ケアマネの自分が現場に行けば良いんだけど、でも自分で出来ることは限られてるし、そこはチームで動けるっていう強みかな? って思うよね。
それに、皆が良く見てくれてるから。井上さんも凄いよね。的確に見てくるよね、利用者さんのことをね。訪問してもね」
井上「ありがとうございます。だけど、その私の情報って神崎(“ぶどうの家”真備・管理者)さんから津田さんに伝わってるんだな? って。手に汗が……なんか知らんけど……」(二人大爆笑)
津田「なんでー? 神崎さんだけじゃなくて、結構いろんな人が言うよ。『井上さんは凄く的確』って」
井上「そうなんですかね? ありがとうございます」
津田「特によく聞くのは、申し送りが凄い上手」
井上「はあっ!! ええっ??」
津田「どこかで鍛えたん? 申し送りの仕方を」
井上「特にはないですけど、前職でも言われることはありました。
ただ、私はかなり省く方なんですけど『この方変わりありません』とかって書くところを、それは無駄と思って省くんです。
だけど『これはちょっといつもと違うし、ひょっとしたらこの小さいのはなにかの病気が隠れてるのかな?』っていうのは自分じゃ分からないけど、これは大事じゃないんかな? ということは伝えるようにしていますね」
津田「素晴らしいなあ! そこよな!」(津田 感嘆する)
井上「全然……全然です」
津田「介護の人が分かるのは『なんか?変』とか『なんか? ちょっといつもと違う気がする』。
“気がする”なんよな。そこが凄い大事で、それを掴めるかどうか? っていうのが第一段階。
ちゃんと利用者さんは発してくれてるんだけど、それをスルーしてしまうこともあるけどな。
でも、それをスルーせずに情報として掴むっていうことが第一段階で、でも掴んだ情報を自分だけで終わらせずに皆で共有するっていうのがもう一つの大事なステップで、そこが凄い上手に出来てるるので」
井上「ありがとうございます」
津田「だから『なんか違う?』『なんか変?』っていう井上さんの感覚を、皆に共有するから、皆もそう思って次の訪問とか通って来たときのこととかを見てくれる。
『なんか変?』『なんか違う?』という感覚だけだったのが『いやいや実は!』っていうようなことだったのか? も、ちゃんと皆の目でそれを見極められるっていうのは凄く良いよね。
井上さんが発信してくれるから、それが出来るんよね」
井上「でも、やはり初めは、こういう朝礼の仕方って凄いなと思いました。なので、先輩の良いところを取り入れたりはありますね。でも本当、ここの先輩職員さんは “気付き”凄いと思います」
津田「利用者さんに対する“気付き”?」
井上「そうですね。“気付き”もそうだし、職員の体調にも良く気付かれていて『大丈夫?』とか、次の日『昨日あんなだったけど今日は大丈夫?』とか言うの聞くので、やっぱ普段から出来てるんだなって」
津田「利用者さんだけじゃなくてね。職員同士も“気付き”あってね。じゃあ、井上さんにここに来てもらって、ウチは凄い良かったけど井上さん的にも満足? なんか『困るなあ』とか」
井上「困ることはないですが、申し訳ないことに去年の11月の頭くらいに祖父が体調を崩したり手術とかで、休むことが増えてご迷惑をかけてしまいました。
それに対して神崎さんが、日頃から『お祖父さん大丈夫?』って気遣ってくれるんで『ホンマ有難いなあ!』と思いながら。そこからは少し落ち着いていて今、3ヶ月くらいは休まずに来させてもらってます」
津田「お祖父ちゃん、もう落ち着いてるんじゃな」
井上「そうなんですが、認知症の緩やかな進みがあるので家族で助け合いながらやってます。で、一つ申し訳ないんですが、来月から夜勤を辞めさせていただいて日勤だけで。ご無理を言うんですが…」
津田「そりゃあな、皆、いろんな時があるもんな。子育てしてる人はね、それはそれで大変だし。それこそ、お互い様でいかんといけんもんね」
井上「確かに確かに……うんうん……ですね」(井上 大きく何度も頷く)
津田「井上さんが、ここをやってて『こういうの楽しいな』とか『良かったな』とかって思えることはある?」
井上「ここに入職させてもらって3週間目のときにインスタを撮っていただいて、あのときに申し上げたのが『職員でダンスがしたい』と。それが一つ叶ったので今…キャハハハー」(喜びの爆笑)
津田「ええええっ!! 叶ったん?」(声が1オクターブ上昇)
井上「叶いました」
津田「えっ? 何をしたん?」
井上「ダンスを! 普通にダンスを踊って利用者さんがタンバリンを持って、こうやって」(手振りで表現する)
津田「やったん?」
井上「やりました、やりました」
@ここら辺りは爆笑 爆笑が続く
津田「それはインスタにアップされてるん?」
井上「上がってはないです」
津田「上げれば良いのになあ?」
井上「ま、機会があれば」
津田「それは楽しいね。良かった良かった!」
井上「ですね。叶いました。聞けば、職員さんの中にもダンス好きな方もいて、で、一緒にノッテくれるし『こんなん、どんな?』ってアイデアもくださるから、今後も続けてやっていけそうです」
津田「あのインスタも見た? 土師邸で踊っているユエンちゃんと三田さんが」
井上「ああああー!! ああー!! あの二人が素晴らしい。あれを撮った久保さんも凄いけど。ああいうの良いですよね。ガハハハハー」(豪快な爆笑)
津田「良いよなあ」
井上「ノリノリ。ノッて出来るなんて」
津田「もう、ダンス部を作ってくれたら良いのに?」(二人大爆笑)
井上「ですね。希望があって練習する時間があるなら?」
津田「面白いと思うけどなあ」
井上「ダンス部。良いっすねえ!」
津田「子供の頃からダンスをしてるん?」
井上「いいえ。してないですよ。ダンスは、本格的なヒップホップとかではないですけど、前々職でダンス同好会みたいなのがあって」
津田「それはなに? 介護の仕事?」
井上「そうです。介護施設の職員内で募集して、衣装もあったので衣装を着て、その同じ系列の介護施設に行って踊ったり。新年会で300人くらい集まって、その前でも踊ったのは気持ち良かったですね」
津田 井上「グアッハッハハギャハハハ ギャハハハ ギャハハハ」(二人、天を突くような過激な爆笑)
津田「知ってるかなあ? ここは今、ジム。ジムに職員さん『行って良いよ』って」
井上「え? 事務の吉原さんが…」
津田「違うちがう。事務じゃなくて体を動かすジム」
井上「オオッ!! なんかお聞きしてます」
津田「あそこさ、スタジオがあって踊れるんよ。行ってみて」
井上「ですね。時間があれば。かしこまりました。なるほど」
津田「職員さんも、そうやって体を動かす機会があったら良いなあ! と思って。健康にも気を付けてもらったらと思い。それで、法人で契約してて、職員さんは無料で行けるので行ってもらったら」
井上「かしこまりました」
津田「家は、玉島だね。玉島にもあるからね」
井上「ありますね。マルナカの所に」
津田「そうそう。良かったら行ってね」
井上「分かりました。ありがとうございます」
津田「ところで、井上さんはどんな切っ掛けで介護に?」
井上「切っ掛け? 言えるほど大したことじゃないんです。初めから介護を志したとかいうんじゃなくて、22歳のとき、まだフリーターでした。販売員してたときに、そこが潰れるということで『えっ!! どうしようかなあ? 求人で探すかなあ?』と考えてた頃です。新聞に折り込みチラシが入っていて『無資格・未経験 歓迎』って書いてありました。
そこが、ここから近い施設でした。『介護? 出来るかな?』。一番心配だったのは『下の世話なんて出来るかな?』。凄い不安だったんですが、出来る出来ないじゃなくて食べていかないといけないので、何か?仕事をしないといけないということから始めました。それが介護との切っ掛けでした」
津田「無資格でも大丈夫だよって」
井上「そうです」
津田「何年くらい前?」
井上「17年前になりますね。22歳の時だったんで」
津田「そうかー。で、そこからズッート、こういう関係の仕事?」
井上「転職はしながらズット17年間、介護をしております」
津田「この世界に飛び込んでみて、どうだった? 販売員の仕事は異なった?」
井上「全然違いましたね。やっぱし、お下はダメでしたね。しかも、その日の昼ご飯がカレーで、食べられませんでした。よりによって、排便を処理した直後の昼食でしたから」(二人大爆笑)
津田「 “介護あるある”よな」
井上「ですです。あんときの気持ちは忘れられないです。今なんかは免疫が付いてしまって全然大丈夫ですけれどね」
津田「排便の話をしながら食べてるもんね」
井上「してますよ普通に、職員同士で」(二人の爆笑は続いている)
津田「でも、楽しそう」
井上「ですね。とっても楽しいです。それに、ここに来て初めてライフサポートとか、そういうのをさせていただいて科学的なモノとか? なかなか難しいと思うんですが、正解ってないから本当に難しいです。『希望はないよ』『なんもしたくない。出たくない』という方々を、これからどう支援したら良いんかな?」
津田「『関わらないで欲しい』とかね?」
井上「そうなんです。でもね、ご縁があって担当をいただいてるわけだから、その方にとって何が一番良いのかな? は考えたりしますね」
津田「『なんもしたくねえ』とか『動きたくねえ』とかって、ある意味は本音だけど、でも本音に隠されたもっと遠くの本音みたいなのが垣間見えたときは嬉しいよね」
井上「ウンウン、確かに!」
津田「先の、井上さんの “ちょっとした変化” “もしかして?”に繋がっているかもしれない。単純に動きたくないんじゃなくて、その奥には『よう動かん』って思いがあるよな。そんな場面はある?」
井上「今日、そうでした。担当利用者さんの受診に行って来たんですが、まだ本音は分かりません。
担当になって数ヶ月だから……まだ心を許してもらっていない、というのもあるとは思いますが……『何かしたい?』って聞いても『特にないなあー』って言われて。
『もう家に居るのが良いなあ!』とも。『どうすれば? なにか良い方法は?』 と考えます。もちろん、無理にはお誘いできませんがね。ただ、昔はお洒落が好きだったと聞いてるので、今度はネイルで引っ張ってみようか? 『ネイルをして、どんなー?』って流れで。いろいろと考えてはいます」
津田「『どうやったら、その人の心に触れることが出来るかな?』っていうのを『あれでもないか? これでもないか?』ってチャレンジするのは楽しいよね。ま、いっぱい失敗もあるけどね」
井上「ありますね。それはもう……」
津田「その方が面白いよね。一発で上手くいくとね? それよりは “あれもダメだった” “これもダメだった”って中で『あっ!! これだったん。えっ!! これー?』みたいな」(津田 大爆笑)
井上「確かに、確かに!」
津田「まさかと思うようなところでヒットするからね。そういう瞬間『ヤッター!!』。嬉しいよな。井上さんはそういうの、私たちと一緒にやってくれる人なんだなあ! と思えるけんね。もうね、介護の世界ではベテランじゃん」
井上「そうですね。17年は長いですよね」
津田「長いよ。で、いろんなことをやって来てるでしょ? グループホームに行ったり」
井上「サ高住に小規模。有料ですかね」
津田「いろんな経験を積んで来ての今だから、本当に良いときに来てくれたなあ! と思って」
井上「ありがとございます。本当に」
津田「いろいろ知って来てくれると厚みが出るよね、小規模の中で。そこは嬉しいよな」
井上「ありがとうございます」
津田「ところで、井上さんから要望なんかはある? 私にでも会社にでも」
井上「要望? あっ!! 以前、久保さんにもお伝えしたんですが、利用者さんのお誕生日を祝いたいな、と。それで、ピアノが欲しいなと思うんです」
津田「ピアノ?」
井上「土師邸に! 職員が弾くだけじゃ面白くないんですけど、先ずは職員に指を借りて一緒に弾くとか連弾する。そういう機会を設けて、後に利用者さんを祝います。『そういう催しが出来たら良いですね』とか盛り上がりはしたんですが有耶無耶になって……」
津田「そうなんじゃ。でも “ぶどうの家”にあると思うけど? でも、小学校にあるようなドーーンとしたピアノ?」
井上「電子でも良いんですが、そこそこの長さは欲しいかな?」
津田「あるはずだけど、ちょっと聞いてみるね」
井上「ありがとうございます。で、今はサテライトの方でも、ミーティングが始まって20分ほどは話し合いをする機会があって、そこで何方からか? 利用者さんのお誕生日会をしたいという案が出たんです。聞くだけでも良し。自ら弾いても良し。利用者さんが触るだけでも良し、ということで」
津田「もし無かったら、持ち運びは出来んけど箱になってるのはあるんよ。BRANCHに。だから、BRANCHへ移動してお誕生日会をしても良いんじゃない?」
井上「なるほどですね」
津田「場面が変わって、改まった感じでやるのも良いかも? よ。あそこだったスクリーンがあってプロジェクターもあるから。例えば、音楽をかけて踊りもできる。映画を観ながらというのもあるし、いろいろと使い勝手があるからね。いろんな発想で、いろんなことにチャレンジしてくれたらね。楽しいことをやったら良いし、皆が、利用者さんのためにって思うことは、とりあえず行動に移してくれたら良いんよ。それは実現せんといけんな! ピアノは習ってるん? 小さい頃から?」
井上「小さいときから習ってたんですが、小学校5年で辞めてしまって。でも普通には。両手で弾ける曲もいろいろあるので、興味を持って『私も弾きたい』という方がおられたらお手伝いしたいです」
津田「ここ、音楽が出来る職員は多いじゃろ?」
井上「そうなんですか? ピアノに関しては?」
津田「もう一人の井上(第16回登場)さんは歌が上手で、ドラムも叩くんよ。久保さんは三線ができるし。だから、楽器をやるスタッフは多いから、皆で盛り上げるのは良いんじゃないかな」
井上「スゴーイ!!」
津田「ダンス部に、音楽隊が誕生するかも? よ」(二人 大爆笑)
井上「大変そうだけど、楽しそう」
津田「シッチャカメッチャカになるかもしれんけど、そこがまた楽しいかもしれんよ」
井上「なるほどですね」
津田「じゃあ、それが実現出来るように頑張ってみましょう。では、今日は以上です。ありがとうございました」
井上「ありがとうございました」
最初、緊張していたらしい? 井上も、対談の中頃からはリラックスモード。笑いの渦に囲まれて対談は終了。今回も “人生いろいろ”を垣間見せていただきました。