[第19回]

本家(小規模多機能ホームぶどうの家・グループホームぶどうの家)

介護職員・石原千佐子(61歳)


ー2025年12月30日ー

はじめに

 

今年3月に入職した石原千佐子。なかなかの貫禄。津田にもハッキリと物申す姿勢が凛々しかった。

 

野田→石原「随時、写真も撮らせてもらいますからよろしくお願いします」

 

石原「えっ!! このままの素顔で撮られるのは困るーー」(三人で大爆笑)

 

@こんな塩梅で和やかな雰囲気で始まった。

|二人は同期の新人

津田「石原さんは、ここへ3月に来てくれたんですよね?」

 

石原「そうです。3月3日に」

 

津田「ありがとうございました。3月に本家にね。グループホームと小規模多機能で、スタッフがガクッと減ったところに来てくれたんよな。

 

私も本家に入らざるをえなくって入ったので、つまり、二人は同期の新人なんよな」(二人爆笑)

 

石原「そうなんです。はい」


|相性が良い

津田「でも、石原さんはドンドンいろんなことを覚えて、ドンドン私より先に進んで、今は遥か遠くにいるって感じなんだよね。そんな石原さんは、どんな経歴なんでしょう?」

 

石原「私はグループホームばっかりなんです。ただ、長いんですよ。20年くらい続けてますから。で、グループホームに再就職したかったんで “ぶどうの家”の本家を選んだんですけどね。小規模多機能は初めてで、全くの初心者同然で分からないことばかりでした。でも、私は車に乗ることが好きで、外に出るのも好きなんで凄く相性が良かったんです」

 

津田「そうそう。石原さんと小規模は合ってる」

 

石原「合ってるって皆さんから言われるんですよ。同じ所にずっといるよりも皆を連れて出たりするのが好きなんで、ここに来て本当に良かったです」

 

津田「ありがとうございます。だけど、本当に合ってる」

 

石原「皆さん優しいんですよ。優しいって言っても、甘やかすんじゃなくて他職員のあれれこれを言わないですよ。ただ、感じたことを言わないのが、ちょっと玉に瑕かなあ? と思うところはあるけど、皆さん和気藹々で、自分のことだけを考えるわけではなく働いてるのが凄いなあ! と。そんなこんなで、もう半年経ちました」

 

津田「半年。あっという間にねえ!」

 

石原「有給休暇もいただきました」


|怒涛の3月

津田「怒涛の3月だったからね」

 

石原「3月は入ったばかりなのに皆さん多忙で、質問しようにもできず、命に関わること意外は自分の経験に沿って動いてました。何も聞けない状況でした」

 

津田「そうだよね。でも、あの激動期は石原さんだったから乗り切れたんよ。これが正真正銘の新人さんだったら、手取り足取り教えてあげんといけんけど、私も新人じゃから教えようにも教えられずだったんよ」

 

石原「でも、私より年下の人がほとんどなんですが、忙しい最中にも優しく指導してもらえましたよ。安全が一番大事なので、危険を感じたときには『ここではどう対応すれば良いですか?』って質問したり頼ったりはしていましたが、他は過去の経験から判断して動いていたんです」

 

津田「そういう経験値と柔軟性があったからこそ、石原さんの今があるんだと私も感謝ばかりです」

 

石原「面接の日に『明日からでも来てもらえますか?』って津田さんから言われたのが今も凄く記憶に残っていて、そこまで言われるなら頑張らないといけないなあ! と思ったんですよ。他の事業所の面接予定もあったんですが即決でした」(爆笑)

 

津田「ありがとうございます」

|大阪に37年

石原「私は37年間、大阪にいたんです。グループホームでは20年ほど過ごしました。3ヶ所で。

前職では10年と少し。辞めるって言ったときには『なんで? 退職ですか? どこか悪いんですか?』って結構問い詰められて、『岡山へ引っ越しするんです』って答えると『それって決まりなんですか?』って。
身体が続く限りは、と豪語してたんでビックリされたり引き止められたりでした」

 

津田「そうだったんだ。名残惜しかったんだろうね、皆さん」

 

 

石原「向こうではね、散歩ぐらいしか行けなかったんです。だけど、ここではいろんな所へ連れて行ってあげて、お花を観たり自然に関わる所へ皆でお出掛けしたりするでしょ。

利用者さんも『昨日行ったから嫌だ』なんて言わないし、職員もできるだけ連れて行ってあげたいという姿勢が強いから素敵です。今、やっと涼しくなってきたのでお出掛けにもワクワクして、利用者さんと職員が一緒に『明日はどこに行く?』って感じで楽しんでますから」


 

 

津田「ちゃんと職員さん皆の真ん中に利用者さんがいて、利用者さんたちの為に自分たちはどう動こうか? どう動けるか? っていう目線で今、やってくれてるから凄く雰囲気が良いよなあ!」

 

石原「これからも、あちこちへ行きたいですね。彼岸花も秋桜も咲きますから」

 

津田「職員さんたちが誰かに言われたからじゃなくてね、自主的に自分たちで考えて動くというのがポイントなんよな」

 

石原「そうなんですよ。それがグループホーム本来の姿だと思ってるんです。今までも長いことやってきたんですが、通常の利用者さん9人でワンフロアだったから余裕がなかったんですよ。だから、ここでは小規模の出入りする利用者さんがいて、入居者の方もいて、その人その人の個々の事情も異なるので体調と相談して、『今日はこの方を連れて出よう』とか臨機応変に対応をしなければならないんですが、そこが楽しいところでもありますね」

 

津田「その日その時で利用者さんの体調だったり、気分だったりが違うからね」

 

石原「送りなんかでも、Tさんが『どこへ行くの?』って今日も言うから送るだけじやダメだと思い『公園を廻ってくよー』ってね。皆に伝えておけば、少し戻りが遅れてもフォローしてくれるじゃないですか、ここは」

 

津田「そういうのを、自発的に自分で考えて『今日はまだ時間があるから、ちょっとそこまで足を伸ばそう』とか、そういう風に考えてくれることが有難い。
そんな風に自発的に動いてくれる職員さんばかりじゃないと思うから、石原さんの大阪での長い経験に基づいた考えや行動は凄い宝だと思うよ」

 

石原「今、凄い充実して仕事に向かえてるんですが、職員さんたちから『石原さん、悩み無いやろ』なんて言われて、『悩みあったら痩せるやろ』とか言い返したりで笑いながら励んでます。
だから『痩せたときには心配して下さい』って伝えてます」

 

津田「そのときには真剣にな」

 

@こんなやりとりが続き、爆笑モードで進んでいく。

|介護の仕事を続けていて

津田「石原さん、介護は長いけど、介護を続けていて “介護は楽しいなあ”と思う瞬間ってどんなとき?」

 

石原「ううーん? 認知症の方って世間一般で思われているような人たちではないんですよ。逆に、しっかりしていると思ってます。私が長く働いてきたグループホームでの経験からすれば。

 

詳しく言うと、本心を見抜かれるんですよ。私たち職員の。ある意味、恐いですよ。ストレートに真ん中を射抜いてきますから。忖度など全くありませんしね。だから、『いつもありがとうね』って言われたら本心からの言葉なので、涙が出るほど嬉しくなるんです」

 

津田「石原さんと利用者さんの気持ちというか、思いがピターと通じ合ったときに本音の言葉が出るんよな。でも、石原さんがここに来てくれて良かったわー。小規模もあったしね」

 

石原「小規模は言葉だけは知ってました。中身なんかは全く知らずで、知ろうとも思ってませんでしたから。
だから大阪の友達にも『グループホームに就職したんでしょ?』って言われるけど、『小規模も付いてるんよ』って返すと『それは大変じゃない?』って驚かれますが『楽しいよ』って言ってるんです。すると『楽しいんだ。良いなあ!』って」

 

津田「もっともっと『楽しい』って言ってよね。小規模って、大変っていうイメージがあるんかなあ?」

 

石原「あるみたいですよ。『石原さんはグループホームに向いてるから』って友達には言われますもん」

 

津田「そういえば、石原さんがAさんの面白さを引き出したんよ」

 

石原「百面相をしますよね、Aさん。だからね、『あれが本来の姿なんですよ』って娘さんが言われてましたし『良かったー』って喜ばれてました。
生き生きとして笑ってくれたらね。本当、笑うが一番。笑顔と出会えることが、この仕事をしていて一番のご褒美だと思ってます」

 

津田「ちゃんと、その笑顔を引き出せる人じゃからなあ。石原さんは」

 

石原「一生懸命じゃないんですよ。普段通りに、素のままでやってます。だからね、帰宅しても、明日は仕事に行きたくないなんて思ったことがないんですよ」

 

津田「わあー、嬉しい。そう言ってくれたら有難いわー」

 

石原「ただね、膝が悪いんで皆さんに迷惑かけることもあるはずです。畳に座れないんですよ。皆さんと同じ目線にいられなくて、悪いなあって」

 

津田「でも、体調は良いんでしょ?」

 

石原「ええ。体力的には全く問題ないですし、力はまだまだありますよ。これだけ体が大きいんで、下から支えることなんかはヘッチャラです」

 

津田「無理せんでくださいよ」

 

石原「無理はしていませんけど、座り込んだりすることができないんですね。利用者さんの靴下なんかは中腰で履かせてあげることはできます。もっとも、長くこの仕事をやってますが腰は全く悪くないんで、これからも頑張りたいと思ってます」

|要望など

津田「よろしくお願いいたします。で、私に、なにか要望とか希望とかありますか?」

 

石原「私、大阪では職員を守ることもしてたんです。組合があって、役員をやってたんですよ」

 

津田「それは凄い!」

 

石原「1年で終わりかなあ? と思ってたら、いつの間にやら長くやってしまってたんです。役員だからって給料が増えるわけでもなく、現場からの声を集めていました。グループホームの入居者さんは私自身そのままの素で対応できるんですが、職員対応となると難しいんですよね。苦情やら、その辺りを汲み上げていく作業をやっていたんです。例えばですね、夜勤明けで休み。これを、会社としてシステム化してもらう。となると、人手を確保する。してもらわないといけません。給料の良し悪しで職員が離職するのではなく、人間関係の悪化から離職するケースが多いのが介護の世界です。人手があれば余裕を持って仕事に専念できますから、イライラすることもないじゃないですか。ただ、給料がいくらいくらないと生活できません。という人は引き止められません。私の管轄外となります。だけど、土、日曜はなるべく休みたいという人には助力します。自分だけが良ければ…は人間関係に歪みが出ますから。まあ、そんなこんなを大阪でやってたんですけど、こんなことも、社長(津田)さんには伝えましたよね。 “働きやすい職場を作りましょう”って。新人ですが、同い年の津田社長に」

 


津田「はい。承りました。有難いよね。こんな風にストレートに言ってくれるのはね」

 

石原「これが要望であり希望です」

 

津田「改めて感謝だけど、職員がギリギリのギリでやっとったけん。でも、今は随分と改善されたからね」

 

石原「そうです。職員も二人、良い人が入られました。有給も取れる環境になってきて雰囲気も上がってますよ」

 

津田「本当に大変な時期を数ヶ月、良くぞ乗り切ってくれました」

 

石原「私の子供は大阪に置いてきて、82歳の母と暮らしています。去年の3月に、腰を骨折して一人では生活できなくなったんです。父は、ここではないですがグループホームに入所しています。先のいことはいろいろ考えます。母のことはもちろんですが、私自身のこともですね。今、働いているここで、お世話になるかもしれません。となると、この職場を良くしたい。良い環境で私もお世話になりたい。繋がっているんです」

 

津田「今後ともよろしくお願いいたします。ここも益々良くなるなあー」

 

 

|終わりに

61歳とは思えない迫力でした。組合活動という修羅場も多い世界で立ち回ってきた片鱗を、垣間見させてもらいました。膝と折り合いつけながら、益々のご活躍を!