[第33回]

看護小規模多機能ホームぶどうの家真備

介護職員・三宅慶子(59歳)


ー2025年4月10日ー

はじめに

 

介護職に就く以前はパソコンを駆使してホームページを作成していた三宅。その後  “奇跡のポニー”との出会い。今回も  “人生いろいろ”のストーリー。

|介護の世界に入る前

津田「そろそろ始めましょうか?」

 

三宅「突然、来るんですね? 実は明日、美容院へ行く予定だったんですよ」(早々に二人で大爆笑)

 

津田「突然は皆さん同様なんで、よろしくお願いします。さて、三宅さんは介護福祉士さんで、介護の世界は長いんですか?」

 

三宅「17年くらいですかねー」

 

津田「そこそこ長いですね。介護の前はどんな事を?」

 

三宅「パソコンの講習をする人ですね」

 

津田「それは、パソコンを教える人?」

 

三宅「ホームページ用のソフトがありました。そのソフトを作る会社で、ソフトの操作方法を教えていました」

 

津田「へーー!! それは凄くない?」

 

三宅「そんなことないです。今はスマホの時代ですが、当時はパソコンが主だったので…」

 

津田「ということは、三宅さんはホームページが作れるということ?」

 

三宅「そのソフトで作られてるホームページです」

 

津田「凄ーーーい!!」

 

三宅「だけど、今はスマホの時代ですから」

 

津田「それは本当に凄いですよ」

 

三宅「もう、かなり忘れてしまいましたけどね」

 

津田「だから、そっち方面が強いんだ! パソコン操作とか?」

 

三宅「強くないですよ」

 

津田「いやいや。以前から強い気がしてたんよ。やっぱ、そうなんだ!」

 

三宅「まあ、作業自体は苦ではありません」

 

津田「それはそれは。だけど、なんでパソコン関係に?」

 

三宅「チカラが要らない。将来的には、自分がどんな状況になっても技術がチカラになると考えたんですよ。どういう環境下に置かれても、パソコンを知ってれば動ける。生きていける」

 

津田「確かに! 凄いですね。そんな風に考えて!」

 

三宅「やはり、腕力的にチカラのいる仕事だったら男性が良いし、私にそのチカラがないのは分かっていましたから」

|犬のチカラ

津田「で、そこから介護の世界へ?」

 

三宅「そうなんです。でも、当時は介護の方も気にはなっていたんですが、本気にはなれなかった。だけど、募集があったんですよ。ドッグセラピーで介護福祉の現場でする人…」

 

津田「ちょっと待って! 良く分からない。ホームページの会社で働いていて、介護の仕事に直じゃなくて、ドッグセラピーって言葉が出て来たけど? その三つが全く繋がらなくて??……」

 

三宅「時系列に説明すると、関東の方でとても怖い事件が起きました。で、子供たちが一斉下校することになりました。要するに子供が襲われたんです。

 

そのときに、私は犬を飼っていました。で、親が登下校を一緒にしないといけない。ということになってしまったんです。つまり、関東で起きた事件がきっかけで、親が子供の登下校に同伴するということになりました。

 

そんな時期があったんです。で、散歩がてら、家で飼ってた犬を連れて行ってたんですよ。すると、最初は遠くの方で恐々と観ていた子供がいたんですが、その子、私が毎日連れて行くもんだから登下校に、段々に近寄って来てくれて犬を撫でるようになったんです。

 

最後には犬を抱きしめるようにもなったんです。『あっ!! これは何かあるな?』と感じて、いろいろ調べてみました。以前から興味もありましたから。すると『動物には、こんなチカラがあるんだなあ!』というのが理解できたんです。

犬に限らず、馬とかイルカとかでもあったので。もちろん、看護・介護の世界にも共通する事案であることは認知してました。それが頭の片隅にあって、ある日、募集を見つけたんですよ」

 

津田「どんな募集だったの?」

 

三宅「アニマルセラピーの、介護現場での募集です」

 

津田「うんーーと? アニマルセラピーをやっている介護の施設があって、そこに募集があった。ということですね?」

 

三宅「はい。長くなりましたが、これが介護世界への入り口でした」

 

津田「じゃあ、三宅さんの飼っていたワンちゃんが子供と仲良くなる様子を目の当たりにして、『ワンちゃんにはなにやら? 持ってるチカラがあるぞ』となって、介護の現場でも活かせるということが分かった。そこに、タイミング良く介護施設からの募集があった」

 

三宅「そういうタイミングもあるんですが、最初に一斉登下校がなければ、こういうきっかけにはならなかったはずです。子供の表情が日に日に変わっていって、最後には『おはよう!』って駆け寄って来て犬を抱きしめるんですから。『これは凄い!』と」

 

津田「でも、そのワンちゃんで、ワンちゃんのチカラを凄いと思える三宅さんも凄いね。で、セラピストとして入ったということ?」

 

三宅「最初はそうです。そして、介護福祉士も取らしてもらって」

|ドッグセラピー

津田「それは、どんな仕事だったの?」

 

三宅「主に認知症の方ですけど、人では拒否があったり暴力があったり、人では対応できない方。認知症が進んでいる方にドッグを間に。私たちは黒子のような存在です。兎に角、ドッグが動きやすいように。私たちは舞台作りと呼んでたんですが、そういう仕事でした」

 

津田「認知症の深い方と、そのワンちゃんが出会うと効果があるんですか?」

 

三宅「私たちが言わなくてもドッグたちは、どういう風に動けば良いかを分かってるんです。なので、寝た切りの方にはそっと寄り沿ってペロペロしたりとか、別の方には元気よくはしゃいで見せたりとか」

 

津田「そうすると、寝た切りでペロペロされたお年寄りは、なんか変化があるんですか?」

 

三宅「人だと、嫌だとおっしゃるんですが、犬だと言わない。『良く来たねえ!』とかね。通じるんです会話が」

 

津田「そうなんだー」

 

三宅「キチンとした会話のキャッチボールが出来るんです。でも、人だったら出来ない」

 

津田「うーーんと? 犬と会話のキャッチボールって、どういうこと?」

 

三宅「例えば『良い子だね、お手』とか『良く出来たねえ!』とか。その隙間で私たちが声を掛けるんですよ。すると、私たちにもお礼を言ってくださったり『今日も来たの』みたいに言ってくださったり。

で、短期記憶も出来たり。短期記憶は後に長期記憶に繋がって、久しぶりに訪ねたら名前を覚えてくれているんです。犬の名前をね」

 

津田「それは凄いです」

 

三宅「脳の仕組みの一番暖かい良い場所に、犬の記憶を留めてくださってるんです。素晴らしい機能なんです」

 

津田「じゃあ、そこが三宅さんの活動の原点?」

 

三宅「そうです。でも、人間て本当に奥深くて、犬ではどうしても辿り着けない領域もあって、そこが、また面白くてですね。『深いなあ!』と。

で、ここに来させてもらって、家族との関わり、住宅の環境。『あっ!! こういうところにも配慮があって、この人の暮らし易い方法ってあるんだな』っていうのをここで改めて勉強させてもらってます」

 

津田「なるほど。で、ドッグセラピーというのは施設? 別のところ?」

 

三宅「岡山市の方です」

 

@少し長くなるが、ここからの対談内容を理解するために、yahooのAIアシスタントから情報を拾った。筆者は知らなかっのだけれど「奇跡のポニー」と呼ばれている


リーフの救出とその後の生活

 

リーフは、真備町の老人介護施設「ライフタウンまび」で飼育されており、施設の利用者に癒しを与えていました。

豪雨で流された後、約240m離れた民家の屋根にいるところをボランティアに保護されました。

その後、岡山市北区の牧場で避難生活を送ったリーフは、約4ヶ月後に真備町に戻ってきました。この帰還は「おかえり会」で盛大に迎えられ、新たな日常が始まりました。

 

娘「嵐(ラン)」の誕生とリーフの死

 

20198月、リーフは娘の「嵐(ラン)」を出産しました。嵐は、奇しくも台風10号が通過する暴風雨の夜、午前3時頃に生まれたと推定されています。豪雨災害を生き抜いた母から、どんな困難にも負けずに立ち向かう強さを持ってほしいという願いを込めて「嵐」と名付けられました。生まれた時の体高は約60cmでした。

 

しかし、嵐を産んでからわずか3ヶ月あまり後の201912月、足を痛めたことがきっかけでリーフは体調を崩し、天国へと旅立ってしまいました。リーフの死は、多くの人々に悲しみをもたらしました。

 

嵐の成長

 

リーフが亡くなった後も、娘の嵐は元気に育ちました。嵐は真備復興のシンボルとして見守られ、「私たちを元気にしてくれる動物」として人々に愛されています。


|奇跡のポニー

津田「じゃあ、そこから介護福祉士を取って、ワンチャンとは離れての介護の現場となるんですね、一旦は」

 

三宅「で、  “ライフタウンまび”で水害時に生き残った馬がいて、馬の娘もいて、飼育員の方も困ってるということを人伝に聞きました」

 

津田「そうなんじゃ!」(二人で大爆笑)

 

三宅「で、今度は人伝に紹介していただき “ライフタウンまび”に雇っていただいたんです。思うんですが『私は、呼んでもらえるのかなあ!』って。

 

それで、私が就職したときもポニー(リーフ)はいました。元気だったんですが、子供を産んだあと少しして天国へ。残された娘のポニー(ラン)は、私が担当させてもらいました。生まれてからズーート一緒にいます。

 

ところが 、“ライフタウンまび”が廃業になってしまいました。『これからこの子たちはどうなるんだろう?』と思ったときに、私の方が離れられなかったんです。

で、私の方から里親になりたいとお願いしたんです。今、ポニーと山羊をお世話をしています。場所をお借りして」

 

 

津田→野田「今度、写真を撮りに行きましょうね」

 

 

 

 

野田「承知しました」

|失業→ “ぶどうの家”へ

三宅「“ライフタウンまび”が廃業になりました。失業してしまいました。悩みました。悩んでるとき、Tさんから紹介していただいて津田さんと出会いました。

悩みごとをMさんと津田さんに吐き出して、心がとても楽になりました。『その折はありがとうございました』」

 

津田「いえいえ、とんでもないです」

 

三宅「親身になって聞いてくださって。それで、津田さんの所だったら、きっと皆さんに受け入れていただけるかな? 

どうかな? って思いながら、悩みながら……」

 

津田「悩みながら来てくれてね……」

 

三宅「あのとき、本当に“このままだと良くない”と思ってましたから」

 

津田「苦しかったんよね」

 

三宅「でも、本当にありがとうございました」

 

津田「そういう三宅さんだから、皆が応援したいなと思うし、一緒にやりたいなって思うんよ」

|深い世界に導かれて

三宅「でもね、今日も失敗して」

 

津田「失敗したの?」

 

三宅「皆さんの足を引っ張ってしまって。自己嫌悪なんです。それでも、皆さん丁寧に教えてくれて」

 

津田「失敗して“なんぼ”の世界ですからね」

 

三宅「この歳になってね、なんか? 出来ないのが恥ずかしい」

 

津田「出来ん方が良いんです。逆に! 100%出来たら周りがシンドイからね」

 

三宅「実は、昔からオッチョコチョイだったんですよ」(二人して大爆笑)

 

津田「オッチョコチョイなんだ!? で、先の三宅さんの話に戻るけど、そんなこんなで “ぶどうの家”に来てくれました。ここに来て働くことで、家のチカラとかご家族のチカラとか本人のチカラ。それを改めて気づいた?」

 

三宅「人って、一人だけじゃなくて周りの住環境も含めて、全てと関わってるんだなあ! って新しい面を勉強できました。やはり、訪問するとそういう面が凄く良く分かります。今まで施設だったんで、ご自宅の訪問はほとんどありませんでした。だから、そこが改めて勉強です」

 

津田「ですよね。家には、利用者さんそれぞれに顔があって、役割とか立場があって、家族との関係があって、そこで成り立つ世界があって、私たちはそこにお邪魔する。ということですからね。でも、それが通いのデイサービスとかデイケアだと、ご利用者さんがお客様としてやって来られる。だから、そこは客としての顔を持って来られるわけだから、家とは全く違うよね」

 

三宅「表情なんかもね。で、こちらでは凄く動かれる方でも、ご自宅ではジイーーートされてたり。声を掛けても拒否があったりとか…『あっ!! こういう面も持たれてるんだなあ!』って。いろいろ気付かされるんです」

 

津田「ですです。だから、皆がいろんな顔を持ってて、それをいろんな場面で意識してなのか? 無意識なのか? 使い分けてて、その有り様を私たちも理解している」

 

三宅「そうです。より深く、その方を理解できるというか?」

 

津田「それを把握しているから在宅を支え切れるというか? 最後までその人がその人らしく家で暮らせる場面を作っていける。そういうのがありますね」

 

三宅「で、ここは、ご家族とも連絡を取り合って関係が密じゃないですか。だから、ご家族の悩みや意見をたくさん聞けるので、一緒に悩む、悩めることになります。これは大事ですね」

 

津田「どうしても私たちって、自分が正しいと思ってやってることがほとんどです。でもそれは、私たちの思いとか価値観であって、それは100%正しいわけじゃなくて、いろんな人のいろんな価値観があるので、それを一緒にやっていける度量が必要だよね」

 

三宅「だから凄く悩みます。イッパイ。ここまで深く悩んだ経験はないです。もちろん、今までも頑張ってきたつもりですが…」

 

津田「深い世界に導かれてしまう? ような?」

 

三宅「そうなんですよ」(納得しあって、二人大爆笑)

 

津田「ご家族の深い悩みに触れたり、ご本人の深い思いを知ることがあったり。

そういうこともひっくるめて、私たちは一緒に歩もうとしてるから余計に背負うことになるよね。

でも、そういう事情が分かる仲間がいるので、皆で言語化したり相談したりしてやっていけるから」

 

 

三宅「とてもじゃないですが、皆さんがいてくれないと本当に」

|次のステージへ

津田「三宅さんも、そのメンバーの一人だから。ところで、三宅さんはこれから、ここでやりたいことはありますか?」

 

三宅「やりたい、というより努力目標ですけどね。

今、私は時間が掛かりすぎちゃうんですよ。訪問もそうなんですが、お話を長く聞きすぎたりして。だから、もう少し掻い摘んで、捉えて、ちゃんと線引きしようと考えてます。

それと、全部を同時に引っ括める傾向が私にはあるので、今、一杯一杯になってるんです」

 

津田「そうかそうかー。受け止めたモノが、一旦自分の中で整理されて、例えば優先順位をつけるとか、そういうことができるようになると、もう少し自分自身の心も楽になるし、仕事もスムーズに行く、と」

三宅「でも、それに気付けたのも、ここの仕事のお陰です。私自身も、新しい私自身を!」

 

津田「次のステージに行ってるんだ? 凄い凄い。では、そういうことで、今日はありがとうございました」

 

三宅「終わりました? ふっ!! ありがとうございました」(二人大爆笑)

|終わりに

三宅が里親になったポニーについては全く無知だったのでYahooで検索を掛けた。画面には馬、ポニーが家屋の二階屋根に四つ足で立っている写真。

 

あまりにも有り得ない光景だったので、今流行りのAI写真か? と疑ってしまった。とはいえ、写真のクレジットとか本文を読むと納得できた。今、これを読んでいてご存知ない方は 是非“奇跡のポニー 真備町”で検索を掛けてみて欲しい。

 

しかし、今回も  “人生いろいろ”と向き合え、ありがとうございました。