ー2025年4月10日ー
はじめに
脚が悪いという小西には椅子へ座ってもらっての対談となった。畳の上に椅子というのも不自然だが、今回も粛々と対談は進んで行く。
津田「今日はよろしくお願いします」
小西「こちらこそよろしくお願いします」
津田「小西さん、 “ぶどうの家”のホームページは見てる? その中の対談とかも?」
小西「見てます。というか、偶然でしたが見ました。武田さんが最初だったような? 実は、しばらく見てないんですけど…ね」
津田「素晴らしい!」(納得の微笑み)
小西「でも、皆さん、プライベートもかなり深くまで話してますね」
津田「企画タイトルが『スタッフ対談ーWho-CABOLIーふかぼり』だからね」
小西「そんな感じだったような?」
野田→小西「すみません。小西さん、お名前と年齢をお願いします」
小西「久美子です。もうじき61歳になりますけど…まだ60歳です。えっ!! これ、年齢も載るんですか?」
野田「はい。他の方々にも同様にお願いしています」
津田「ええっ!! 嫌だけど仕方ないか?」(津田 小西 野田 三者爆笑)
津田「じゃあ、本題へ。小西さんは看護師さんですね?」
小西「はい」
津田「今まで、どんなところで仕事をして来たんですか?」
小西「ここの前は特養で働いてました」
津田「 “ぶどうの家”に来る前は特養にいて、そこで看護師さんをやってた?」
小西「そうです。で、特養の前となると普通の病院ですね」
津田「病院で。外来?」
小西「病棟です」
津田「あっ! 入院の方の病棟でね。長かった?」
小西「長かったかな? 8年?」
津田「病棟で8年くらい?」
小西「子供が小さいときは、ちょこちょこと外来もありました。転々とはしましたけどね。でも、特養が一番長かったかもしれない?」
津田「どのくらい?」
小西「10年いました」
津田「じゃあ、そこを辞めた後に、ここへ来てくれた。経緯は?」
小西「実は、職場でイザコザが起きたんです。で、嫌になって『私、もう辞める』となったんです。でも、一度辞めてしまうと、私は脚が悪いんで次に勤める所がないから西澤さん(第6回登場)に相談してみました。『どこか良い所はないかなあ? 探してみてくれる?』って」
津田「そうだったんじゃあ!」
小西「特養で一緒に働いていた時期もありましたからね。ケアマネなんで、あちこちの事情も詳しいはずだし。で、返事が来たんです」
津田「それが “ぶどうの家”だったんだ」
小西「そうなんですよ。で、真備とか本家、そして花帽子を見学させてもらって一番シックリときたのが花帽子だったんです」
津田「そうなんよね。なんか、看護師さんとかは、花帽子がシックリくるという人が多いんよな」
小西「私の場合、自宅からだと真備が最短なんです。船穂は遠い。でも、花帽子でやってみてシックリときたから」
津田「シックリくるのは? どういうところがシックリ?」
小西「なんだろう? 雰囲気かなあ?」
津田「雰囲気?」
小西「入口のドアを開けたときの雰囲気。真備や本家とは微妙に異なる雰囲気? 私には合ったんでしょうね」
津田「建物の雰囲気?」
小西「そうだと思います」
津田「確かにね! 花帽子は、根っから家なので。それぞれの人にそれぞれの居住スペースがあって、そこから出てくると皆が集えるリビングとか居間とか食堂とか、そういうのがあるという造りになってる。
本当に、住まいを明確に意識してる建物だからね。“ぶどうの家”にいくつかある事業所の中では、初めてよね」
小西「それで、玄関を入った瞬間にアットホームな雰囲気を感じたんだと思います。ホンワカ感も漂って!」
津田「建物の持つチカラは凄く大きいな、と思ってます。居住スペースがキッチリあるというのもそうだし、皆が過ごす居間とかも畳に拘ってやってるんだけど、小西さんが感じる雰囲気はあるかもしれんね。ところで、小西さんはここで働いて何年かな?」
小西「3年目です」
津田「働いてみてどうですか? 家を念頭に考えたら」
小西「良いと思いますよ。ただ、少し暗いかな? というイメージはあります。床とか見て分かるように、ちょっと暗いんですよ」
津田「色がね?」
小西「そうそう。で、古民家的で素敵なんです。往診に来られた先生も言ってましたから。ただ、廊下なんかも少し暗くて『もっと明るくすれば良いのになあ!』とかは思います」
津田「それは、花帽子が持っている特性だと思う。それは、利用者さんに自由に移動して欲しいから。
歩けない人は手とかお尻とかで座ったまま移動するよね。歩ける利用者さんがそこに他の利用者さんがいると気付かずに躓いたりとかもするけど、基本、皆に自由に往来して欲しい。
車椅子を使いたくない利用者さんもいる。そこはマイペースで、手とお尻を上手に使って移動してもらえれば良いと考えてるから」
小西「なるほどですね」
津田「じゃあ、暗くしている理由は聞いてる?」
小西「聞いてませんけど」
津田「えええっ!!」(津田が超ビックリのアクション)
小西「聞いてません。ここは、こうなんだ! と思い込んでましたから」
津田「そうなんじゃ!」
小西「はい」
津田「では、小西さんが3年目にして初めて聞くことになる “暗い”理由を説明します。
利用者さんが、特に夜とかなんだけど…目が覚めました・出て来ました、となったときに廊下があまりにも煌々と明るいと、朝か? 昼か? みたいな思いになってしまう。
だけど、ちょっと薄暗いと『ああ、まだ夜なんだなあ!』っていうことが理解できて、『もう一回寝ようか』みたいな気持ちの、テンションの上がり具合を明るさ暗さでコーディネートできると良いなあ! と思ってやってるんです」
小西「でも、それって夜だけで良くないですか?」
津田「それはそうなんだけど」
小西「日中は、少し明るくしても?」
津田「電気、点けてないん?」
小西「多分、あれが一杯一杯だと思いますよ」
津田「そうなんじゃ。まあ、そういう思いもあってね。それと、今いるお年寄りたちが育った家って、煌々と明るい家じゃないでしょ? どちらかと言えば、ちょっと暗めの家が多いじゃない。ということで、できるだけ、昔ながらに暮らして来たような環境に近づけたいなあ! って。こんな思いもあるんよ」
小西「だから古民家風に?」
津田「そうそう、そうなんよ。ただ、この建物は新しいんだけど、古民家風に見えたりするのかもしれない。認知症の方がここに来て『嗚呼!! 築100年の家は落ち着くのお!』と唸ってることもあるけど、築10年と少しだからね」
小西「確かに、落ち着きはありますよね。私が居ても落ち着きますから」
津田「まあね、職員が落ち着くというのは一番よね。だけど、職員が仕事をするときにって考えると、敢えて、だだっ広くしてないの。本当だったら畳の部屋とエレベーター前の壁ってあるじゃない。あんなの要らないんよ。ない方が職員的には良くない?」
小西「確かに。あの壁が両部屋を遮りますからね」
津田「あれ、敢えて見えないようにしてるんよ。っていうのは、利用者さんの立場に立ったら嫌じゃないかなあ? って。常に、いつも誰かに見られてる、っていうのは凄くシンドイんじゃないかな? そう思うんよ。
でも、逆に職員の方からすると、見えにくい。でもね、見えにくいということは気に掛けないといけない。
『あっ! あそこにあの人行ったなあ!』『こっちにこの人おるなあ!』『どうしてるかな?』っていうのを常に気に掛けてないとダメなんよ。っていう造りにしてある。
それは、私たちは気に掛けるのが仕事だと思ってるから。その人に想いを馳せるとか、気に掛けるということをしなくなったら私たちの仕事ではないと思ってるから。
だから、環境的にもそういう造りにしてあるの。じゃけん、職員は気に掛けてくれてるんじゃろうな、とも思う。小西さんがさっき言ったような、建物の持つチカラで落ち着いている。
職員が気に掛けてくれてるから利用者さんが落ち着いていられる。両方、どちらもが重複しての、花帽子の落ち着きなんだと思うけどね」
小西「ですねー」
津田「なかなかね。出来るときばかりじゃないからね。大変なときもあるかもしれんし。職員からしてみれば『難しいことを求められるなあ』って」
小西「人数がね? もう少しいればね? って思うことはありますよ。背中には目がないから。そこに居るのは分かっていても、足音一つしなくて歩く人もいるから。そうなとき、困るんです」
津田「今は、かなり改善された? 職員が来てくれて」
小西「改善とは?」
津田「人手不足という点で」
小西「平日は、確かに充分だとは思います。ただ、パートさんが不在の土日は厳しいですね」
津田「そうなんじゃ。土日がもう少し改善されれば良いんよね」
小西「パートさんも交代で良いから、土日に出てくれたらなあ…と」
津田「まだ子供が小さい人とかが多いから、もう少し大きくなったらねえ? そうすると『月に1日でも出ようか』となってくれそうだし? この問題は大きいよね」
小西「そうです。そこだけです」
津田「そうそう。今、倉本君(第24回登場)、濱田君(第29回登場)、それに福本さん(第8回登場)を中心にシッカリと業務を改善していこう。
そんなチームを作って動き始めていて、濱田君が皆の意見も聞いてみるって言ってくれてる。小西さんとも面談をしてくれると思うけど、花帽子をもっと良くしていくために『もっとこうしたい』ということがあればシッカリと声を上げてくれたらと思います」
小西「分かりました」
津田「じゃあ、今日はありがとうございました」
小西「ありがとうございました」
建物の持つチカラ。今回の核はこの点だったと思う。しかし、以前から花帽子の、特に廊下の灯りについては疑問だったけれど、今回、利用者さんへの深い想いが根底にあることを理解することができた。