[第29回]

本家(小規模多機能ホームぶどうの家・グループホームぶどうの家)

介護職員・川畑魅弥(23歳)


ー2025年3月20日ー

はじめに

 

これまでの29回、いろんな人生体験を経て紆余曲折ありながらも “ぶどうの家”に辿り着いた職員が多かった。ところが今回、高校・大学で福祉を学んだ直後 “ぶどうの家”に入社した川畑との対談。ジェネーレーションギャップを抱えつつも、興味深く聞かせてもらった。

|生粋(福祉一筋)

津田「とうとう順番が来ました」

 

川畑「来ちゃったんですねー。何を話したら宜しいでしょうか?」(二人で爆笑)

 

津田「川畑さんは最初は真備にいて、その後に本家に来た。真備に来たのはいつ?」

 

川畑「真備は大学卒業して直ぐでした。今、2年目になります」

 

津田「本家に来たのは、何ヶ月前?」

 

川畑「4月に移動になったんで?」

 

津田「じゃあ、真備で1年働いて本家に来たというわけね」

 

川畑「そうです」

 

津田「なるほど。働いて、1年目ってどうだった?」

 

川畑「もう、覚えるのに必死でバタバタでしたね」

 

津田「良く頑張ったね。大学の頃、実習とかには行ってたとしても……」

 

川畑「真備の皆さんには、右も左も分からない新人が入ってご迷惑を随分と掛けたと思ってます」

 

津田「迷惑を掛けた?」

 

川畑「掛けた。でしょうね、きっと!」(苦笑い)

 

津田「でも、皆が凄い丁寧に教えてくれたね」

 

川畑「そうなんですよ」

 

津田「社会福祉系の大学を出て、社会福祉士を持ってるんかな?」

 

川畑「持ってます」

 

津田「介護福祉士も持ってる?」

 

川畑「はい」

 

津田「大学卒業時に、二つが取れたんかな?」

 

川畑「じゃなくて、高校生のときに介護福祉士は持ってました」

 

津田「えっ!! どこの高校?」

 

川畑「倉敷中央高校です」

 

津田「そうか! 倉敷中央高校で介護福祉士を取って、大学の卒業年に社会福祉士を取ったと。生粋だね」

 

川畑「そうなんですけどねー」(二人爆笑)

 

津田「じゃあ一応、介護の勉強もそれなりに高校時代3年間やって、大学から今に至る」

 

川畑「そうなります」

 

津田「だけど、介護福祉士を高校で取ったからとて、直ぐに使えるってわけでもないもんね? 技術的なモノを含めて」

 

川畑「本当に基礎の基礎なんで学校は。そこから、応用をどうするか? 現場に出て」

 

津田「もちろん基礎は凄く大事で、それがあっての現場なんだけど『オムツの当て方はこうですよ』って習ったからとて、AさんとBさんの当て方が違ったりとかするので、そういうことは体験しながら身に付けていく。ということになるもんな」

 

川畑「実習で他施設に学びに行ってて、ある程度は知ってても、やはりそれぞれのやり方があって最初は少し困惑しました」

 

津田「それはそうだ。で、中央高校から美作大学へ?」

 

川畑「はい。美作大学です」

|福祉道へのきっかけ

津田「で、美作大学で、というか福祉を勉強しようと思ったのは、なぜ? それは中央高校以前から?」

 

川畑「以前からです。きっかけは中学2年生のときでした。お祖父ちゃんが癌になって入院となったんです。

で、立て続けにお祖母ちゃんも腰の難病で入院したんですが、お祖母ちゃんに認知症の症状も出始めて、そこから福祉の道へ進もうと考え始めたんです。注射が大嫌いだったんで医療には拒絶感がありましたから」

 

津田「お祖父ちゃんとお祖母ちゃんの病気がきっかけでね」

 

川畑「そうなんです」

 

津田「で、大学へ行って福祉を勉強したらどうだった? 自分の中で変化があったとか?」

 

川畑「中学生の頃は何も知らない状態で、お祖母ちゃんの世話というより話相手がメインだったんですが、『なんで、こんなに同じことを繰り返すんでしょうか?』って思いながら話を聞いてたんです。

 

だけど勉強して来て、そういうことを話す背景。不安があったりとか、場所がどこか分からないとか、そういうのが自分の中で結び付いて『あっ!! 今はきっと、こういう気持ちだから、こういう話題を出したら良いのかな?』とか。

 

結び付きは少し強くなれたと思います」

 

津田「なるほどね。そういうことが考えられるようになったかなあ? ってとこかな」

 

川畑「多分? 自信はないんですけどね」(苦笑い)

|“ぶどうの家”を選んだ理由

津田「じゃあ、福祉を勉強をしていろんな道へと進む人がいるよね。そんな中で、川畑さんが “ぶどうの家”を選んでくれたという理由は、なんかあったの?」  

 

川畑「一つが、大学では堀川先生のゼミにいたんですが、私は大学4年生時、真備の高齢者支援センターへ実習に行ってました。そこで、堀川先生が実習巡回に来られたときに『真備( “ぶどうの家”)に見学に行って来ました』という連絡があったんです。

 

そして『勉強が活かせるからお勧めですよ』との声も頂き、これが切っ掛けになりました。もう一つは、包括の人と一緒に真備の運営推進会議に参加したんです。実習生としてですね。

この二つの経験で『働きやすい職場かもしれないなあ?』『ちょっと見学へ行ってみようかなあ?』と」

 

津田「その勘は当たってたのかな?」

 

川畑「当たってました」(二人で納得の微笑み)

 

津田「良かったね」

 

川畑「和やかな雰囲気で、楽しそうな!」

 

津田「ああっ!! 運営推進会議に来たときに、何が良かったの?」

 

川畑「そのときはゲストで弁護士さんが来てて、運営推進会議のメンバーに話してたんです。で、その後に感想を言ったりする機会をもらったりしたんですが、メンバーさんから『 “ぶどうの家”においでよ』とも誘われて気持ちが向かいました。実習後ですが、branchの男性介護者の会にも見学に行かせてもらったんです。で、そこで“ぶどうの家”の活動の一片も知ることができました。大学で『地域に出て行きなさい、行きなさい』と言われてたのもあるんですが、アウトリーチですね。『地域に出て一緒に活動していけるのって良いなあ! 働きたいなあ!』という感情がムクムクと湧いてきて応募。とういう流れだったと思います」

 

@アウトリーチの意味を知らなかったのでYahooのAIで検索。
ーアウトリーチとは、支援を必要とする人々に対し、専門家や関係機関が積極的に働きかけ、支援を届ける活動を指します。従来の「来てもらう」支援とは異なり、「こちらから出向く」点が大きな特徴です。ー

 

津田「なるほど。素晴らしいです。学生時代に“地域で”とか“アウトリーチ”とかいっても勉強はするけれども、じゃあ現場でどうなんか? っていうのは、なかなか難しいもんね。それが実習に来たりとか見学に来たことで、ちょうどそういう場面が実感できたということなんよね。でね、川畑さんみたいに介護もできる、福祉も分かるっていう人は凄い貴重だと思うんよ」

 

川畑「そうですか?」

 

津田「そうよ。思うよ。で、例えば山形(第18回登場)さんがやってることって、現場の人からしたら分かりにくくって『なんであの人、外ばかり行ってんだろう?』とか。

 

私が言ってることもそうだけど『なんであの人、地域の人と訳の分からんことばかりしてるんだろう?』とか。って思ってるスタッフもいるかなあ? って思うんだけど、私等も機会があれば『こういう為にやっとんよ』とか理由は伝えるけどね。でも、なかなか伝わりずらいんだけど、川畑さんはそれを端から理解している人。

 

なので、例えば現場の中で『それ、分からんなあ?』みたいな疑問や思いがあれば、『こういうことよ』っていうのをちゃんと言語化できて伝えられる人だから凄い貴重だと思うんよね。1から説明せんで良いわけだから」

 

川畑「そうかも? ですね」

 

津田「それが当たり前の人だから。っていうのが凄く強みなんかな? そりゃあだって、地域と一緒にやっていかないとね。私等も地域の一員だから。そういうことが分かってる人と、体感しながら学んでいく人とあると思うんだけど、川畑さんは分かってて尚且つ体感できる人だからそれは凄く良いんよ」

 

川畑「ありがとうございます」

|悔し涙

津田「川畑さん、ここへ来て楽しかった? 就職してみて」

 

川畑「楽しい、ですね」

 

津田「どんなことが楽しい?」

 

川畑「日々が楽しい」

 

津田「日々が楽しい?」

 

川畑「だから、一個挙げろと言われても挙げれんのんですよ」(津田と川畑 大爆笑)

 

津田「本当ですか……でも、よく泣いてるよ」

 

川畑「ううーーーーう。ブー! それは、力足らずのところを実感しての悔し涙です」

 

 

@ここら辺は、二人して大爆笑に次ぐ大爆笑。

 

 

津田「悔し涙なんよな、オッケイ! 皆も可愛がってくれてるしね。決してイジメてとか…」

 

川畑「全く、そんなんじゃないです。分かってます」

 

津田「皆ね、川畑さんのことが分かってて、皆で良くなろうとしてるから、それを受け止めての涙だから。そこは川畑さんも理解してるから『頑張れ 頑張れ』って思うよね。濱田さんと話したとき(第29回登場)、濱田さんは  “プロ意識”って言ってたよ」

 

川畑 “プロ意識”?」

 

津田「向上心が無くなったらダメなんだ。だから、自分も出来ないことがあると悔しいんです、と。そこに通じるところが、多分あるよね。また泣きょうるで!?」

 

 

@川畑の目に涙あり。二人して大々爆笑。♪ギャハハhahahahaー Gyahahahaははー♫

 

 

津田「直ぐ泣くけんな!」

 

川畑「ウゲー!! 言わんといてください」

 

@津田が猛爆笑い

|認知症カフェ

津田「川畑さんは“ぶどうの家”で、どんなことがやりたいのかな? なにかある?」

 

川畑「やりたいこと? やりたいこと? ただ漠然としか見えてないんですが、土師邸で美作大学でやってるオアシスカフェみたいな認知症カフェをやりたいなあ!って。今、認知症カフェをやってるんでしたっけ?」

 

津田「やってる! 手伝いに行きたい?」

 

川畑「行きたいけど、誰に聞いたら宜しいんでしょうか?」

 

津田「誰でも良いです。私でも構いませんです。毎週水曜日の午前11時から午後3時までやってるので、また行ってみてください。で、その  “オアシスカフェ”って、どんな目的でやっとったん?」

 

川畑「最初は “家族の人と本人さんが相談できる場”。という感じだったんですけど、今は“ちょっとしたことを話せる場”みたいな感じになってますかね」

 

津田「認知症の当事者と介護している家族の人が、誰に相談できるの?」

 

川畑「介護者の人が他の介護者に『これこれ、こうなんだよ』って相談の場だったりとか、なかなか外に出られない方に少しでも外に出られる機会が作れたらなあ! って感じだったような? 

気がするんですけどね。自信が無くて最近」(苦笑い)

 

津田「土師邸で今やってるのは “さくらカフェ”といって、もともと土師邸は地域の人たちが気軽に顔を合わせて、なんでも相談したりとか困ったこととかを言い合えたり解決できる場所になったら良いなあ! っていうので始めたんよ。

 

もちろん“さくらカフェ”もその流れを汲んでやってるよね。お互いに顔が分かる関係になったり、気軽に相談できる場所になったら良いよねって! 
だから、
“オアシスカフェ”に通じてるところもあるのかな? 一度、覗いてみたら良いね」

 

川畑「覗いてみたいです」

 

津田「水曜日にやってるから。そうやって、川畑さんがやりたいことがあったら、ドンドン言ってくれたら良いなあ! って思うし、それを具体化できるのが良いところかな!」

 

川畑「ありがとうございます」

 

津田「他になんかある? やりたいこと」

 

川畑「うーーん? ないです。急に振られても頭から出てこんのです」

|女王様

津田「川畑さんが入って丸2年が来ようとしてるけど、印象に残ってる出来事とかあるかな?」

 

川畑「一番ビックリしたことですけが、真備にいるときの入浴介助中の出来事です。ある方が、『えーと? これ言っちゃって良いのかなあ?』」

 

津田「掲載するか? どうか? は別にして、言ってみてよ」

 

川畑「お風呂介助で『お風呂に入る前に、一回トイレに座ろう』となりました。で、座るときに『私、力ないんでシッカリとお願いしますよ』って言ったら、その方が『はい、女王様』って返答されたんですよ」

 

津田「女王様って!?」(津田 川畑 大爆笑)

 

川畑「ビックリしてしまったんです」

 

津田「それってTさんとか?」

 

川畑「当たり!!」(津田 川畑 改めて大爆笑)

 

野田→川畑「すみません。でも、施設介護の場面では “あるある”じゃないですか?」

 

川畑「入ってまだ、間がなかったんで」

 

野田「あっ! そうかー」

 

川畑「4ヶ月? 5ヶ月目位の頃でした」

 

津田「お風呂介助を始めたばかりの頃よな」

 

川畑「で、もう一つあるんですが…本家に来て、訪問し始めて4ヶ月目くらいでした。Hさん宅で『私に見覚えありますか?』って聞いたら、『ある』。『名前は分かりますか?』と聞くと笑いながら『分からん』。でも、覚えてくれてたことが嬉しかったです」

 

津田「Hさん、川畑さんのことを認識してくれたんよな。なかなか覚えられんHさんがね。喋らない人だったし」

 

川畑「喋ってても聞き取れないし」

 

津田「だけど、そういうの嬉しいよね。気持ちが通じ合ったみたいな。どちらのエピソードも初々しくて良いね」

 

川畑「初心者マークでしたから」

 

津田「じゃあ、今後もよろしくお願いいたします」

 

川畑「こちらこそよろしくお願いいたします」

|終わりに

初々しさが残る23歳。これからも涙あり・笑いありで突き進んでください。楽しかったです。