ー2025年1月10日ー
はじめに
この対談時からイメージしていたのだけれど、河田は津田と向き合っていても岡山弁を多投する。
津田への敬いを込めて。なので、河田のここでの口語は、河田が話すとおりに岡山弁で統一しようと考えていた。
もちろん、この企画に登場してくれた誰もが方言も使い、話した。やんわりと。
とはいえ、河田の場合、岡山弁で喋る河田に河田らしさを感じてしまったから。特に、困惑の表情を浮かべながら話すとき。言い換えれば、岡山弁が良く似合うのだ。
しかし、文字化を始めて違和感が出た。どうにも読む段になると、読むのが苦しい。読みづらいのだ。
で、結局、普段通りに、私なりに編集させてもらうことにした。
改めて記す。河田は岡山弁がスコブル似合う男だ。
津田「河田さんです」
河田「河田です。今日はよろしくお願いします」
津田「この企画は“ぶどうの家”の ホームページに“ーWho-CABOLIーふかぼり”というのがあるんだけど、見た?」
河田「すみません。まだ見てません」
津田「で、企画の趣旨は、職員さんたち一人一人のことをもっと知りたいということ。それと、職員さんから私に要望なり希望があれば聞きますよ、ということ。実現できるか否かは別としてね」
河田「ハイ。了解です」
津田「河田さんは、介護を始めて何年になるの?」
河田「今までの経験を併せてですか?」
津田「そうそう」
河田「10年ほどになるんですかね? 以前の所で8年ほどやってました。ここに来て2年が経ちましたから、やはり10年ですね」
津田「長いですね。で、8年勤めていた以前は別の仕事?」
河田「うーーん!? ちょっと? ちょっと? うーーん?? いろいろ?」
@少しの間、ここで河田は考え込んでしまった。
河田「以前はですね、ちょっとしてたんですが、ほぼしてない感じでしたね。仕事をし始めるんだけど、三日で辞めたりとか…」(苦笑い)
津田「やるなあ! それ」(爆笑)
河田「仕事に入ったけど、やっぱめんどくさいけん辞めるとか…ですね」
津田「凄いなあ! それって」
河田「だから、ほぼやってないって感じです」
津田「それは、職歴にカウントできない?」
河田「うーーーーん?」
津田「アルバイト?」
河田「アルバイトでもなくて……」
津田「就職はするけど?」
河田「就職っていうか? バイトみたいな感じで入ったけど『ホンマにめんどくせえなあ』で辞めるパターンばかりでしたね。やるにはやるけど、どれも二週間は続かずでした」
津田「凄すぎー!! それが何年くらい続いたわけ?」
河田「学校を卒業してからじゃけえ、3年?」
津田「大学を?」
河田「大学じゃなくて、高校卒業して3年くらい。いろいろ仕事をしょったけど、全然やる気が出ないから続かなかったです」
津田「やる気が出ず? だけど、介護をやろうとなった?」
河田「うーーん?最初は介護事情を全く知らんかったんですよ。周囲にお爺ちゃんお婆ちゃんは多かったんですけど、祖父母の存在は大きかったですね、多分。
小さい頃は両親より祖父母と過ごす時間の方が多かったので。だから、お年寄りは嫌いじゃなかったです。
で、たまたまテレビを観てたら、NHKで介護の仕事に関する番組をやってました。
それを観て、やってみようか? と思い、学校へ通い始めたんです。
岡山の専門学校で2年ほど勉強して、今に至る。ザックリ言うたら、こんな流れです」
津田「そうなんだ。でも、直ぐに辞めてばかりだったのに、介護は嫌にならずに続いたんじゃ?」
河田「シンドイけど、やりたくない、というのは無かったんですよ」
津田「なんなんだろうね、その違いは?」
河田「分かんないです。今も、シンドイのはシンドイんですよ。だけど、やりたくないという感情は湧いて来ないんです」
津田「続いとるもんな、結局。それ、凄くない?」
河田「そうなんですけど、なぜ? と問われても、自分でも分かりません。介護職は嫌いじゃないですから。だけど、シンドイとかエライというのは以前と同じようにあるっちゃあるんですけどね」
津田「それは仕事じゃからなあ。シンドくない仕事は無いもんなあ?」
河田「そうなんですけど、以前の様にはならないんですよ。メンドクセーとかにね。なんでか知らんのですけど」
津田「不思議よなあ? でも、例えばさ、介護の仕事を始めた頃に結婚したとか? 子供ができたとか? そんなタイミングじゃなかった?」
河田「今、子供が7歳なんですよ。ってことは、逆算すると子供が産まれる3年前には介護の仕事に就いているということじゃから、3年は続いているので子供も結婚も関係ないはずです」
津田「介護は河田さんと合ってるんだ」
河田「嫌いじゃないです」
津田「じゃあ、介護は楽しい?」
@以下の☀️マークの囲いの範疇は、河田トークのそのままを、ザックリと再現してみた。
☀️☀️☀️
河田「楽しい? うーーーん… 楽しいときもありますよ。利用者さんで大変な人もおりますけど、なんて言うのかな? うーーーん… ま、やっぱ、ま、結構いろんな人と接すると、ま、勉強になるんスよ。
自分、分からんこと多いんで、なんか、ちょっと変なことを言う人もおるけど、やっぱあの、あの、いろいろ昔の事とか教えてくれる人もおるし、分からんなりにちゃんと、あれ? 言ってくれる人もおるで、正直、頭に入らんタイプじゃから。意外と、『そんなん、あるん』ゆう感じでスゲー勉強になるんですよ」(大爆笑しながら)
☀️☀️☀️
津田「お年寄りから学ぶことが多いんだ」
河田「そうなんですよ。一般人からすれば普通のことばかりだと思うんです。だけど、ホンマに知らないんです。一般常識ばかりと言われればそうなんでしょうけどね。でも『なに? それ』ってことばかりで」
津田「教えてもらえるんだ」
河田「教えてもらってます。違うときもあるんですけど。やっぱ、後で調べるんですけどね。『えっ? それ合ってるんかな?』というときもありますけど、ホンマに勉強させてもらってます。ここの利用者さんたちに。他の仕事で学べないわけじゃないんですが、興味が湧かないから」
津田「河田さんは、人と接するのが好きなんかな?」
河田「別に嫌いじゃないですよ。嫌いじゃないですホンマ!」
津田「人と接する仕事が良かったんよな? 性に合ってる?」
河田「好きか嫌いか? と問われれば、好きですね」
津田「前は、大きな特養に勤務していたんよな?
今は“ぶどうの家”に勤めていて、なんで“ぶどうの家”に来ようと思ったの? 切っ掛けがあった?」
河田「うーーん? 特養でも良かったんですけど、どう説明すれば?
介護するのに大変な人が多くなって、自分自身が狂ってしまいそうになったんです。
今、虐待とかも世間で問題になってますけど、このまま勤務していたら虐待してしまうんじゃないか?
そんな不安も過ったりで、追い込まれていたんですよ」
津田「これはヤバイ? と思って辞めたんだ?」
河田「そうです。いつもイライラした自分と折り合いつけながらやってましたから」
津田「そこは辞めても、介護は継続したかった?」
河田「特養を辞めても、介護そのものは嫌にはならなかったです。
ちょっと気晴らしではないけど、息抜きも兼ねて“ぶどうの家”へ。違うジャンルを覗いてみたい、というのもありましたから。特養一筋だったんで、在宅、グループホーム他、興味はあったんです」(罰が悪そうに照れ笑い)
野田→河田「そうは言っても、以前の仕事が続かなくて、介護職は10年も続くという人は珍しいですよ」
津田「そうそう。本当に! 介護が好きなんよね?」
河田「格好良く言えば『介護そのものの奥深さをもっと勉強・探究してみたい』というのもあって、ここに来たというのも本音です」
野田→河田「それは、いずれ独立して起業したいと?」
河田「そこまでは思っていません。ただ、お年寄りに関わり続けたいとは考えています」
野田→河田「前職で、イライラしてどうにもならない状況に追い込まれて退職。でも、本家でも、少し前までイライラする状況下にあったようにも思えるんですが?」
河田「あるのはありました。でも、我慢できないイライラではなかったんです。大なり小なり、イライラは介護の現場で普通にあるじゃないですか。
とはいえ、以前のような制御不能に至りそうな状態には、ほど遠かったですから。
簡単に言えば、介護するのが大変なお年寄りに入居してもらうのは当然だけど、受け皿である施設側の体制を充実してくれないと職員は燃え尽きてしまいます。
燃え尽きるだけなら良いですけど、退職後、心療内科とかに通うことにもなりかねません。人手不足は事故の元凶です」
津田「ここだったら5~6人。おっても7人とか。夜になれば、それを一人の夜勤者で見る。だけど、特養なんかは何十人っているもんなあ」
河田「ボクのいた施設も夜勤、一人で20人前後を見てましたから」
津田「そうなんよな。こっちでは歩きはじめ、あっちではベッドから落ちるとか…同時に重なると対応できないもんなあ!」
河田「動かないお年寄りばかりで体調だけを気遣うのなら、なんとか遣り繰りできるかもしれません。
だけど、歩きだすお年寄りも一人だけじゃないから、見れる体制を作って下さいと上司に何度も伝えたんですが、なし崩しでした」
津田「夜間に5人の利用者さんがいて、1人が動き出すのとは違うもんね。特養は広いし」
河田「事故も当然だけど起きます。事故が起きれば事故報告書も書かないといけません。
そんな日々を繰り返していたら…なんだかなあ! でした」
津田「だけど、ここも大変な利用者さんはいるけれど、そんな辛い経験をしてきた河田さんだからこそキャパシティも大きい。混乱している利用者さんの対応に余裕があるもの。そこは河田さんの強みよね」
河田「ここでは、一人一人にゆっくり関われますから自分に嫌悪を持つことなどありません。以前は、入浴でも食介でも文字通りに流れ作業だったんで、利用者さんと触れ合いを大切にしたい職員にとっては辛い “作業”でした」
津田「今は楽しそうだよね。利用者さんとスッゴイ楽しそうに喋ってるもん」
河田「嫌いじやないんでね。以前は関われんかったから、今が新鮮です」
津田「とはいえね、ここも大変は大変なんよな」
河田「大変は大変です」
津田「今は、一時の大変さを乗り越えて、ちょっと落ち着いてきたよな?」
河田「あの頃はしんどかったです、ホンマに」
津田「あそこを皆で乗り越えたからね。これからドンドン良くなるかなあ? と思って」
河田「そうなると思いますけど…しないといけませんね」
津田「期待しています。で、河田さんが、これからやりたいことってある?」
河田「以前、職員が利用者さんの故郷へ、お墓参りも兼ねて二・三日、一緒に訪ねたということを耳にしています。ボクも、やれるんならチャレンジしてみたいなあ、とは考えます」
津田「是非に!」
河田「行きたいなあ! と。ただ、段取りですね。全く不安内なもんで」
津田「それはな、河田さんが『この人とこの人のお墓参りに行きたい』と言ってくれたらそれで良いんよ」
河田「そうなんですね。ただ、体調が急変したりすることもあるじゃないですか? そんなとき、救急車を呼んだりとか通常通りに行って良いんですか?」
津田「それはもちろん。だから、いろんな場面を想定して準備万端で臨んでもらいます。誰かいる? 担当の利用者さんで」
河田「Yさんかなあ?」
津田「Yさんに、そんなこと言ってあげたら大喜びするよ。じゃあ、Yさんに聞いてみて? 行きたい所、あるのか? ご家族の了解も必要だし、費用面も相談して考えんといけんし。徐々に、少しづつ段取り付けんといけんからな」
河田「考えてはいます」
津田「良いねえ! 是非、やろう。そういう思いを、職員さんが口にしてくれることが凄く嬉しい」
野田「凄いすごい。実現できたら超凄い」
津田「出来るできる。絶対できる。行きたいと思えば必ずできる」
河田「実は、かなり以前から頭にはあったんですよ。それが、いろんなバタバタで忘れてしまってました。直ぐに忘れてしまうんですよ」
野田「まだ、そんなに若いのに。でも、この企画で文字化されるので忘れられることはありません」
津田「実現しよう! 最後に、私への要望とかあるかな?」
河田「なんか? なんかあったんですけど忘れました」(三人で大爆笑)
再々、書き込んだりはしなかったけれど、河田の一言一句に笑いが渦巻いた。
とはいえ、(ーWho-CABOLIーふかぼり)の趣旨どおりに、かなり深掘れた内容になったと思う。
利用者さんとの故郷へのお墓参り。実現されることを願っております。